GR86/BRZ用 VERUS ENGINEERING Ventusエアロパッケージ1-3
RK-ONLINE / VERUS ENGINEERING FOR TOYOTA GR86 (ZN8) / SUBARU BRZ (ZD8)
ヴェルスエンジニアリング VENTUS AERO PACKAGE 1–3
Ventusパッケージは、米Verus EngineeringがGR86/BRZのために開発した3段階のエアロキットです。実車の3Dスキャンから起こしたCFD解析、風洞実験、プロドライバーによる実走テストを重ねて設計されており、各部品の効果はすべて数値で公開されています。
このページでは、メーカー発行の技術資料(2025年9月版)に掲載されたデータと解析画像を、日本のユーザー向けに読み解いていきます。
パッケージ構成
構成部品
- ダイブプレーン(カナード)
- トランスミッショントンネルカバー
- アルミ製リアディフューザー
- リアサスペンションカバー
構成部品
- Ventus 1 の全部品
- フロントスプリッター&エアダム
- 高効率リアウイング(スワンネック)
- リアスパッツ
VENTUS 3
タイムを削りにいく
競技・タイムアタック志向の方向け。UCWウイングを軸に、サイドスプリッターやフードルーバーまで含めた最大構成です。ウイングマウントはボトム/スワンネックの2仕様。
商品ページへ構成部品
- Ventus 2 の全部品(ウイング以外)
- UCWリアウイング(ボトム/スワンネック)
- スプリッターエンドプレート
- サイドスプリッター
- フードルーバー
- ベンテッドエンドプレート
※ベンテッドエンドプレートはスワンネック仕様のオプションです。
構成一覧
| 部品 | VENTUS 1 | VENTUS 2 | VENTUS 3 |
|---|---|---|---|
| ダイブプレーン(カナード) | ● | ● | ● |
| トランスミッショントンネルカバー | ● | ● | ● |
| アルミ製リアディフューザー | ● | ● | ● |
| リアサスペンションカバー | ● | ● | ● |
| フロントスプリッター&エアダム | - | ● | ● |
| リアスパッツ | - | ● | ● |
| 高効率リアウイング | - | ● | - |
| UCWリアウイング | - | - | ● |
| スプリッターエンドプレート | - | - | ● |
| サイドスプリッター | - | - | ● |
| フードルーバー | - | - | ● |
| ベンテッドエンドプレート | - | - | OPTION |
各部品は単品でも装着できますが、前後の空力バランスを崩さないため、メーカーはパッケージ単位での導入を推奨しています。解析はローダウンスプリング/車高調相当の車高で行われています。
データで見る効果
下のグラフは、各パッケージが純正(OEM)と比べてどれだけダウンフォース(上段)とドラッグ(下段)を増減させるかを、対気速度ごとに示したものです。空力の力は速度の2乗に比例して増えるため、曲線は右肩上がりのカーブを描きます。
注目してほしいのは下段のVentus 1(黒線)。曲線がゼロより下、つまり純正よりも空気抵抗が減っていることを示します。床下の整流だけで構成されたパッケージならではの特性です。
Ventus 2〜3の帯は、ウイング角度の調整範囲による幅を表しています。たとえば時速160km付近では、Ventus 3(スワンネック)は数百lbs(数十〜百数十kg)級のダウンフォースを純正比で上乗せします。
ボトムマウントとスワンネックの違い — Ventus 3のUCWウイングは2種類のマウントが選べます。ウイングの仕事の大半は下面(負圧面)が担うため、下面を支柱で乱さないスワンネックの方が効率的。翼角を立てた状態では、ドラッグを増やさずにダウンフォースだけを上乗せできます(80mph≒129km/h時)。
| ウイング翼角 | ダウンフォース | ドラッグ |
|---|---|---|
| −1°(低翼角) | +16.8% | +2.9% |
| 12°(高翼角) | +6.8% | −0.4% |
スワンネック化による変化(ボトムマウント比・車両全体)。
部品ごとの解説
4.1ダイブプレーン(カナード)V1/V2/V3+
最低地上高を変えずにフロントのダウンフォースを少し足したい、という場合に向く部品です。板そのものが空気を受けて発生する力は限られており、本来の仕事は車体まわりの流れを整えること。意図的に作り出した渦がフェンダー内の空気を抜き、ボディに働くリフトを減らします。
4.2リアディフューザー&サスペンションカバーV1/V2/V3+
市販車の空気抵抗の多くは、車体後方にできる低圧の渦(ウェイク)が車を後ろへ引っ張る「圧力抵抗」です。ディフューザーは床下の空気を減速させながら後方へ導き、この渦を埋めます。結果として、ダウンフォースを得ながらドラッグも下がる。じつはストリートカーにこそ向いた部品です。
4.3トランスミッショントンネルカバーV1/V2/V3+
純正の床下には大きな開口部が残っています。ここを2枚のパネルで塞ぐことで床下の乱流が減り、CFD上でCd(抗力係数)を約8ポイント低減。エンジンルームから抜けてくる空気をパネル上面に流すことでダウンフォースも増え、後方のディフューザーに届く気流もきれいになります。
4.4フロントスプリッター&エアダムV2/V3+
前まわりの主役です。総ダウンフォースの36〜47%を受け持ちながら、ドラッグへの寄与は全体の約5%(Ventus 2、ウイング角度により変動)。解析はスプリッター単体ではなく、エアダム・サポートロッドまで含めた実装状態で行われています。
Ventus 3で追加されるエンドプレートは、スプリッター上下面の働きを高めて空力バランスを前寄りに移します。その分リアウイングの角度を立てられるため、同じバランスのままトータルのダウンフォースを増やせます。
4.5サイドスプリッターV3+
車体側面から床下へ回り込む空気を抑える部品です。開発では実際のサーキット走行(Putnam Park)で記録された車高と舵角をCFDで再現し、直進時だけでなく旋回中の床下気流を重視して形状を決めています。増えるダウンフォースは車体中央付近に集中するため、前後バランスへの影響はわずかです。
4.6高効率リアウイングV2+
「街も走るがサーキットも走る」という使い方を想定して、CFDの反復最適化で生まれたウイングです。低ドラッグなので、パワーの限られた車両や小さめのスプリッターとの相性が良好。純正のダックテールスポイラーを残したまま、その上で効率よく働くよう位置決めされています。ドラッグ最小を狙った設計のため、マウントはスワンネックのみです。
4.7UCWリアウイングV3+
リアに大きなダウンフォースが欲しい場合はこちら。翼型はCFDで設計したのち風洞で煮詰めたもので、こちらも純正スポイラーとの共存が前提です。マウントはボトムとスワンネックの2種。効率差の数値は「03 データで見る効果」の表をご覧ください。
4.8フードルーバーV3+
ラジエーターとエンジンルームの熱気をボンネット上へ抜く部品です。ダウンフォース増とドラッグ減を同時に達成し、車両全体の空力効率は20ポイント向上。バランスは5%ほど前寄りに動きます。抜いた空気がリアウイングの働きを妨げないよう、開口の位置と形が調整されています。
CFD画像の読み方
本ページやメーカー資料に登場する解析画像は、色の意味が分かると一気に読めるようになります。主な可視化手法をまとめました。
STREAMLINEストリームライン(流線)
空気の通り道を線で表したもの。色は流速を示し、赤系が速く、青系が遅い流れです。FIG.06のように、部品が流れをどこへ導いているかを読むのに使います。
CpZ上下方向の圧力分布
車体表面のどこがダウンフォース/リフトを生んでいるかを示します。青=ダウンフォース発生域、赤=リフト発生域。FIG.08・09の「青く染まった面」が仕事をしている場所です。
CpX前後方向の圧力分布
ドラッグ(抵抗)がどこで発生しているかの可視化。赤が抵抗を生む場所、青は逆に車を前へ押す(推力側の)場所を表します。
CpT総圧(気流のエネルギー)
気流が持つエネルギーの残量。エンジンルームや車体を通過してエネルギーを失った空気の行き先を追うのに使います(FIG.10)。
Cp圧力係数
大気圧を0とした相対圧力。0より下が低圧(吸われる側)、上が高圧(押される側)です。無次元数なので速度が変わっても比較できます。
POINTSポイント
空力係数の増減を表す単位で、1ポイント=係数0.001。「Cd8ポイント低減」は抗力係数が0.008下がったという意味です。
開発の裏付け
実車スキャンから作られた解析モデル
解析は入力が悪ければ結果も悪くなります。Verusは GR86 の実車を自社で3Dスキャンし、誤差が最も大きい箇所でも1mm未満というCADモデルを製作。ダクトやラジエーター経路、エンジンルームの主要構成部品まで解析モデルに含めています。
「直進」を前提にしないCFD
解析には有限体積法CFDのOpenFOAM v2106(SIMPLE法、K-Omega SST乱流モデル)を使用。現実の走行でほぼ起こらない完全な直進気流ではなく、0.5°のヨー角を基本条件とし、複数の車高・ヨーレートで旋回状態も解析しています。ラジエーター等の冷却系は多孔質流体としてモデル化されています。
風洞と実走で確認してから製品化
CFDで設計した形状は風洞実験で熟成させ、最終的にプロドライバーのサーキット実走で確認。仕上げは純正並みのフィット感を目指しており、取付動画とマニュアルが用意されています。エンジンに手を入れないため、駆動系の純正保証はそのまま残ります。
どのパッケージにするか迷ったら
走行ステージ(街乗り中心か、走行会か、タイムアタックか)と現在の仕様をお知らせいただければ、上記のデータをもとに構成をご提案します。単品からの段階的な導入のご相談も可能です。
適合:トヨタ GR86(ZN8)/スバル BRZ(ZD8)。本ページの図版・数値はVerus Engineering発行「Ventus 1-3 Informative Pack」v3.1(2025年9月29日)より。解説は同資料に基づきRK-ONLINEが構成・翻訳したものです。