ARC Indy風洞でのVERUSリアウィングテスト

【翻訳】VERUS風洞実験レポート|CFD解析と実測の誤差は2%以下

「CFD解析でデザインした」とうたうエアロパーツは少なくありません。しかし、その解析結果が実測で正しいと証明されているかまで公開しているメーカーは、ほとんど存在しません。VERUS Engineeringは2019年、自社のCFD解析を風洞実験で検証し、その結果を数値とともに公開しました。本記事は、VERUS公式ブログ「Verus Wind Tunnel Results」(2019年1月24日/Eric Hazen)を、日本正規代理店RK-ONLINEが翻訳・編集したものです。掲載画像はすべてVERUS Engineering公式ブログより。

風洞テストの概要

VERUSは、CFD解析の検証を目的として、米インディアナポリスの風洞施設 ARC Indy(Auto Research Center Indianapolis)で実物大のウィングテストを実施しました。テストしたのはVERUS製リアウィング2本と、他の小規模メーカー/プライベーターのウィング4本。ウィングを風洞内に保持する治具も自社で設計・製作しています。

風洞内に設置されたVERUSリアウィングと保持治具

ARC Indy風洞内に設置されたリアウィングと自社製作の保持治具

なぜ「検証」が重要なのか

CFDと風洞データを突き合わせることで、CFD内でのテスト手順が正確かつ妥当であることを確認できます。CFDは設定を誤れば、いとも簡単に間違った結果を出します。だからこそVERUSは、自社のCFDが実世界の数値を正しく推定できていることを確認したかったのです。

検証方法

ウィング単体を完全な自由気流の中でテストすることは物理的に不可能です(ウィングを保持する構造が必ず必要になるため)。そこでVERUSは、風洞と同じ条件をCFD側に再現しました。保持治具(スティング)を含めた全体を、風洞床面からの正確な高さでモデリングし、解析しています。風洞テストは約80MPH(約129km/h、36.5m/s)で実施されました。

風洞条件を再現したCFDモデル(保持治具含む)

保持治具ごと風洞条件を再現したCFDモデル

解析条件も公開されています:

  • メッシュ生成・解析・ポスト処理:ANSYS
  • メッシュ数:4,000万セル超
  • 境界層:プリズム層20層、第1セル高さ0.005mm(粘性底層まで捕捉)
  • 乱流モデル:K-Omega SST、K-Epsilon Realizable、Spalart-Allmaras の3種で比較

結果①:ダウンフォース

風洞実測値とCFD解析値の比較では、K-Omega SSTモデルが最も実測に近い結果となりました。CFDはダウンフォースをわずかに少なめに見積もっており、その差は:

  • 80MPH(約129km/h)時:3.4lbs(約1.5kg)
  • 120MPH(約193km/h)時:7.5lbs(約3.4kg)
  • 160MPH(約257km/h)時:13.4lbs(約6.1kg)
ダウンフォース検証グラフ:風洞実測値とCFD解析値の比較

ダウンフォース:風洞実測(黒)と各乱流モデルのCFD解析値の比較

結果②:ドラッグ(空気抵抗)

ドラッグも同様にK-Omega SSTが最も実測に近く、差は:

  • 80MPH時:0.7lbs(約0.3kg)
  • 120MPH時:1.6lbs(約0.7kg)
  • 160MPH時:2.8lbs(約1.3kg)
ドラッグ検証グラフ:風洞実測値とCFD解析値の比較

ドラッグ:風洞実測とCFD解析値の比較

結論:CFDと実測の差は2%以下

ダウンフォース係数・ドラッグ係数ともに、CFD解析と風洞実測の差は2%以下という結果になりました。この検証によって、VERUSが製品開発で日常的に使っている解析手順が、実世界の結果と正しく相関することが裏付けられました。

CFD解析と風洞実測の係数比較表(差2%以下)

各乱流モデルの係数と風洞実測との差(%)比較表

グラフや解析画像を含む原文はこちら(VERUS公式ブログ・英語)でご覧いただけます。

この検証が意味すること

VERUSの製品ページに書かれている「CFD最適化設計」「ダウンフォース○○lbs対応」といった数値は、実測との相関が確認された解析プロセスから生まれています。エアロパーツを「見た目」ではなく「タイムを削る機能部品」として選ぶなら、この開発姿勢こそが判断基準になります。

解説記事「サーキットで本当に効くエアロとは — ドレスアップエアロと機能性エアロの違い」もあわせてご覧ください。

VERUS Engineering製品は、日本正規代理店RK-ONLINEで全製品お取り扱いしています。

ブログに戻る