DrivAerモデルによるフラットアンダーボディ検証

【翻訳】リアディフューザーにフラットアンダーボディは必須か? — 4ケースCFD検証

今回の記事では、「リアディフューザーが機能するにはフラットアンダーボディが必須である」という、よくある誤った認識を検証します。VERUSは当初からこれが不要であると述べており、CFDと風洞の両方でこのテーマを詳細に研究したSAE論文を根拠としてきました。今回、自社でも非常に詳細な検証を行い、そのデータを公開します。伝聞ではなく、最先端のCADと解析ソフトによる正規のテストに基づく情報です。本記事は、VERUS公式ブログ「Is a Flat Underbody Necessary for a Rear Diffuser to Function?」(2019年1月11日/Eric Hazen)を、日本正規代理店RK-ONLINEが翻訳・編集したものです。

検証に使用した車両モデル

車両モデルにはDrivAerモデルを選択しました。ミュンヘン工科大学の空気力学・流体力学研究所が開発した汎用車両モデルで、CFDと風洞の両方で広範にテストされているため、自社のCFD結果との比較(つまり検証)が可能だからです。CADは大学から直接提供されたものです。リア形状は、サーキットを走る車の大多数を最もよく代表するノッチバックを選択。テスト用にベーシックなディフューザーを追加しました。時間をかけて最適化すればディフューザーの性能はさらに上げられますが、今回の目的は、床下が汚い(凹凸のある)状態でもフラットでも、ベーシックなディフューザーが車両性能をどう助けるかを見ることです。解析は全部で4ケース: ディフューザーなし×ダーティフロア、ディフューザーなし×フラットフロア、ディフューザーあり×ダーティフロア、ディフューザーあり×フラットフロアです。

DrivAerモデルによるフラットアンダーボディ検証

CFDセットアップ

CAD作業はSiemens NX。CFDモデルの準備と仮想風洞の生成はANSYS SpaceClaim。メッシュ生成と解析はANSYS Fluent、ポストプロセシングはParaviewで実施しました。モデルはフルスケールで、今回は中心線での対称面は使用していません。VERUSの標準手法である回転タイヤも再現。メッシュの最大スキューは全セットアップで0.86で、この種の解析としては非常に良好な値です。メッシュは平均4000万セルで、Fluentのポリヘキサコアメッシュを使用しました。

数値データの概要

ドラッグ

最もドラッグが大きいのは「ディフューザーなし×ダーティフロア」、最も小さいのは「ディフューザーあり×フラットフロア」でした。フラットフロア・ダーティフロアのどちらでも、ディフューザーはドラッグを低減。しかもダーティフロアの方がドラッグ低減効果は大きかったのです。

リフト

ダウンフォースを目指すならリフトは小さいほど良い値です。なおDrivAerモデルは、ほぼすべての市販車と同じくリフトを発生します。ダーティフロアにディフューザーを追加した場合、車両全体でのダウンフォース増加は9lbs(約4.1kg)、ディフューザー単体では61lbs(約27.7kg)でした。この差は、ディフューザーが車の他の部位にも影響を与えるためです。一方、フラットフロアでは、今回の未最適化ディフューザーの追加で逆にダウンフォースが減少しました。もっとも、ディフューザーに少し手を入れれば、フラットフロア+ディフューザー構成でもフラットフロア単体を上回るダウンフォースは確実に得られます。

数値データの結論

ディフューザーはダーティフロアのモデルにおいてドラッグとリフトの両方を改善し、機能するためにフラットフロアを必要としませんでした。「ディフューザーにはフラットフロアが必須」という主張は何百回となく目にしますが、検証の結果、それは誤りです。床下のCp分布の詳細に興味があれば、DrivAerモデルの詳細なCpプロットを掲載するSAE論文2012-01-0168を参照してください。繰り返しになりますが、空力デバイスが機能しているかを知る唯一の方法は何らかのテストです。風洞、CFD(正確なCFDソフトと知識ある実践者によるもの)、あるいはサーキットでの適切なデータ収集システム。VERUSは、自社のニーズに最も適した手段としてCFDを選んでいます。

フラットアンダーボディ検証の数値データ

CFDポストプロセシング画像

以下の画像はすべて表面の圧力係数(Cp)プロットです。青・紫などの寒色が低圧、黄・オレンジ・赤などの暖色が高圧、グレーは大気圧で性能に影響しない部分です。床下の低圧はダウンフォース改善(今回の場合はリフト低減)につながるため性能に好ましく、床下の高圧は好ましくありません。

床下の圧力係数プロット比較1

床下の圧力係数プロット比較2

床下の圧力係数プロット比較3

床下の圧力係数プロット比較4

床下の圧力係数プロット比較5

床下の圧力係数プロット比較6

結論

以上のとおり、ディフューザーが機能して車両性能を改善するために、フラットフロアは必須ではないことを詳細に検証・実証しました。同様のテーマを扱うSAE論文や学術論文も公開されています。空気力学は直感的ではなく、時に直感に反します。追加したコンポーネントが本当に性能を改善しているかを確かめるには、解析と検証の両方が不可欠です。伝聞は空気力学には無用です。

原文(数値表を含む)はこちら(VERUS公式ブログ・英語)でご覧いただけます。翻訳記事「VERUSはリアディフューザーをどう設計するか」もあわせてご覧ください。

VERUS Engineering製品は、日本正規代理店RK-ONLINEで全製品お取り扱いしています。

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